犬の「分離不安」とは飼い主と離れることにより不安になり、甘えん坊や寂しがり屋というレベルを超えて様々な問題を引き起こす状態です。心身ともに大きなストレスをもたらせます。
分離不安になると一人で留守番をさせられない、ペットホテルに預けられないなど飼い主も困ってしまうんですね。飼い主の姿が見えなくなるだけで大騒ぎして吠え出してしまいます。
24時間365日ずっと一緒にはいられませんからね。分離不安は「分離不安症」や「分離不安障害」とも言います。犬の精神的疾患である「不安障害」の一つです。
- いつも飼い主の後をついて歩く
- 飼い主がトイレや風呂に入り姿が見えなくなるとパニックになる
- 飼い主が外出しようとすると大きな声で吠える
- 飼い主が帰宅すると喜び過ぎておしっこをする
分離不安の主な症状と問題行動について
それでは、分離不安のワンちゃんを一人で留守番させるとどのような症状が出て?どのような問題行動を起こすのでしょうか?
- 過剰に吠える:飼い主の姿が見えなくなると過剰に吠えて近所迷惑になります
- 破壊行動:壁・柱・家具・玩具・クッションなど家中の物をボロボロにします
- 排泄の失敗:普段はトイレの躾が出来ているのに別の場所で排泄をします
- 自傷行為:不安で暴れ怪我をしたり、血が出るまで自身を噛んだりします
さらにひどくなれば、食欲不振・下痢症状・パニックになるなどの症状が出ます。このような場合には獣医さんに相談しましょう。治療には、精神安定剤などによる薬物療法と、問題行動を改善する行動療法を併用することが一般的です。
分離不安になる原因は!?
分離不安の大きな原因は、飼い主がもう帰ってこないのではないか?一人の時に何か危険なことが起こるのではないか?という不安な気持ちが原因です。
分離不安は仔犬の時の色々な原因や要因が考えられます。
- 生育環境:仔犬の時の長時間の留守番・破棄された経験
- 恐怖体験:留守番中の地震、雷、大きな物音・飼い主が数日帰らず空腹感や恐怖感を味わった
- 生活環境の変化:引っ越し・ペットホテルに預けられた
その他には加齢での病気からの不安で出現することもあります(失明・認知症等)
甘やかしていつでもベッタリというのも良くありません。
分離不安の改善方法は!?
症状が軽いうちならば、自宅で改善が行えます。
☑ 留守番の環境を整える
留守番の時に寂しくならないように、お気に入りの玩具や コング を用意したり、テレビを付けておいたりします。人間の声が流れることにより安心すると言われています。
室内を適温に保ち、飼い主が着ていた匂いが付いた服を与えると安心します。
☑ 外出する時に犬に気づかれないようにする
外出する時に大げさに今生の別れのような振る舞いをする飼い主はNGです(お別れのおおげさな儀式)人間が悲しんだり不安という感情で外出すれば、犬も人間と感情が同調するために残された犬の不安を煽ってしまいます。
また心配だからと何度も様子を見に帰ってしまうのもNGです。犬は吠えれば飼い主が帰って来てくれると認識してしまい、吠え続けることを助長することになってしまいます。
☑ 留守番中の失敗は叱らない
留守番中にイタズラをして物を壊したりしても叱ってはいけません。失敗を強く叱られると、飼い主の関心を引くためにわざとイタズラをするようになるケースもあります。
そしてこの「留守番トレーニング」が定番の分離不安の改善方法でもあり、王道の方法でもあります。
留守番の練習をします。最初は1分玄関に出て犬を一人にします。次は3分、5分、10分と時間を延ばしていきます。最終的に、買い物に行く場合ならば2時間ほど、仕事に行く場合には8時間は一人で留守番が出来るようにトレーニングします。
この時に留守番ができたことを褒めてはいけません。飼い主の外出は「当たり前で日常」なんだと認識させることが大切です。
飼い主の外出が当たり前と認識すれば、同時にきちんと「帰ってくる」ということを理解します。この2つが理解できれば不安が軽減していきます。改善する期間は個体や症状にいっても違います。数日で出来る場合もあれば時間を要す場合もあります。
噛み癖で悩んでいるケースもよく聞きますよね。ローテーブルの脚や端を噛む、ソファーの脚を噛む、ペットベットを噛んでボロボロにする、人の手や足を噛むなどですね。甘噛みから本気噛みになってしまうこともあります…噛み癖だけでなく、こういった問題行動を解決するには「その原因を探ることが解決の糸口」になりますよ。